穏やかな午後

　昨晩吹いていた強い風もおさまり穏やかな晴天となった。
雑用をすませバイクに乗ったのは午後になりはじめた時間。
スティードに乗ってでかけるのは去年の１１月以来。
冬とよべる季節の中の暖かな一日だった。
何故だか急に東京タワーが見たくなりスティードを走らせたのだ。
横浜に住んでいてまだ一度も東京タワーには行ったことが無かった。
以外にも都内の道は空いていて快適に走ることがでした。
１０年ほど前まではよく走っていた道なのにその記憶はひどく曖昧なものとなり
加えて更に都市化が進んだ街に改めて歳月というものを認識した。
　東京タワーはその役目を終えようとしていると聞いた。
先日、首都高速を走っていて感じたのは東京タワーが小さく見えたことだ。
以前は周りのビル群の中にあってなお高くそびえていたのに
いつの間にかビルの谷間に小さく建っていた。
それでも真下から見上げたそのタワーはとても大きくそして高く空に伸びていた。
　風もなく穏やかな午後、とくにあてもなく走り、着いたのは昔住んでいた町。
とくになにもない平凡な古い団地だ。
日曜の午後だからなのだろうかか、そうではないのか、ひどく閑散としていた。
あの時代、ここには子供たちの声であふれていた。
冬だからなんて関係ない。
一日中外で遊んでいた。
毎日のように行った駄菓子屋も水浴び程度にはなる小さなプールもない。
東京タワーでさえ小さくなるのだから仕方がない。
缶コーヒー１本分の思い出旅行をすませまたスティードを走らせた。